クラニオセイクラル・バイオダイナミクスのアプローチ

CHAではクラニオセイクラル・セラピーにおけるバイオダイナミクスのアプローチを研究し、訓練を行なっています。このワークで得られるのは心身の深い休息です。人体の生理環境のもっとも基盤として知覚される波動を調律し、オーバーヒートした自律神経系を落ち着かせ、交感/副交感のバランスを取り戻します。このワークの特徴は、正中にある組織とその機能を改善に向け、自己治癒力を高め、健康に結びつけることができます。

クラニウムとは頭蓋、セイクラムとは仙骨のことです。名の通り、頭から仙骨にいたる - 骨格と肉体の深部システムに深く働きかけます。クラニオセイクラル・システムとは、頭蓋から仙骨にいたる骨/中枢神経系を包む脳脊髄膜/髄膜の中で循環し脳細胞に滋養を与える脳脊髄液/中枢神経(脳と脊髄)、これらをひとつの系として指しています。

クラニオセイクラル・セラピーは組織に表れる律動的な運動を知覚し、このエリアの '液の停滞' や '組織の癒着' などに働きかけます。一般的によく知られているクラニオセイクラル・セラピーはCRI レべル(Craniosacral Rhythmic Inpulse - 60秒間に8〜14サイクル)で知覚される組織運動、特に骨の反復運動に働きかけます。私たちのアプローチであるバイオダイナミクスではミッドタイド(60秒間に2.5サイクル)と呼ばれる液と組織の運動に注目し、さらにはとてもゆったりとした速度の生命運動であるロングタイド(100秒間に1サイクル)の観察を行ないます。

このようなゆったりとした運動はまるで細胞レベルで起こる深い呼吸のように感じることができます。この微細な呼吸運動を推進する力は “ブレスオブライフの潜在力” と呼ばれ、生命誕生から死に至るまで体の生理環境を支えて維持すると言われています。ゆえに、このような呼吸運動をあらわすシステムはもっとも "原初の" と言う意味で "原初呼吸メカニズム(Primary Respiratory Mechanism)" と呼ばれます。この呼吸は肺呼吸のそれとは違い、まさに細胞レベルの呼吸、さらに微細な量子レベルとして知覚されます。

微細な呼吸運動を知覚するためにプラクティショナーは常にニュートラルな状態を保っています。これは、瞑想と同じ質を持ち、プラクティショナー自身が自分の中心に落ち着いて 介入せず、また、巻き込まれず - 静かな観察を行ないます。正しい評価とは、どんな先入観も持たずにいることです。このような姿勢を保ち続けることがこのワークにおけるプラクティショナーの資質となります。

人体系に働きかけるとき、それは単に身体を指すのではなく、複雑な精神活動や私たちの思考が及ばない深遠な領域も考慮しなければなりません。ゆえに、たとえどんな素晴らしい思いつきや考えであっても、その先入観が施術に限界をつくり、生命固有の健康の力、自己矯正、自己治癒の妨げとなります。プラクティショナーは視野を最大限に広げる必要があります。このように、バイオダイナミクスのアプローチはまさに "中立な観察者" となることです。そうして始めて、独断的な診察ではない、正確な調査を行うことができます。

クラニオセイクラルヒーリングアートでは、クラニオセイクラル・バイオダイナミクスのワークを通して上記のような資質を持つプラクティショナーを育成しています。


バイオダイナミックスの治癒プロセス

生命フォース力学とそのアプローチ



バイオダイナミックスという用語はサザーランドと共に深遠なる調査をしたローリン E. ベッカーによって使われ始めました。それは、人体系を "生き生きとした生命活動そのもの" として捉えています。クラニオセイクラル・バオダイナミックスのアプローチは生命フォースの推進力とその潜在的な治癒能力に重点を置きます。人間はそれ自体が完全であり、生命のインテリジェンスが展開される存在として、その潜在的な健康を引き出すことがワークの焦点となります。

ブレスオブライフの作用は、生命とその健康を維持する力として捉えることができます。私たちは訓練された繊細な手を通してブレスオブライフが推進する潮流のような、または、細胞質に現れる呼吸のようなモーションに耳を傾けることが出来、スティルネス現象を通して調律のよいモーションへと導くことができます。原初呼吸モーションが落ち着き始め、広がりを持つと、自律神経の安定とバランスに良い効果をもたらすことができます。それは、体の自己治癒と自己矯正につながり、しいては、体と精神の全体的なオーガニズムに良い影響を与え、生存環境を整えることにつながっていきます。

また、クラニオバイオのプラクティショナーは安定した触診を通して “受け手の観察力と気づき" を促します。このようなアプローチは、私たち自身の瞬間瞬間に起こる内なるプロセスに気づきをもたらすことが出来ます。私たちのアプローチはプラクティショナーからの強制的な介入をもたず、ニュートラルな立場で耳を傾けることで潜在的治癒を引き出していく方法です。生体のオーガニズムを観察することで組織の張力バランスやその緊張を知覚し、液と組織の統合された均衡ポイントを見いだし、その緊張の0ポイント、つまりスティルポイントからスティルネスへと誘います。スティルネス現象に導くことが最大のヒーリングにつながるからです。

スティルネスとは身体システムが深い休息に入る現象を指し、もっとも基盤と言われるロングタイド以外のモーションが一時的に止まるか、または、深くゆったりとした休息時の調律のよい運動が起ります。この状態にある時、自律神経のバランスが落ち着き始めます。体の緊張がやわらぎ、全身性の均衡を取り戻す力が作用します。さらに、精神的な理解の深まりが起こることも稀ではありません。

特殊用語

ブレスオブライフ/Breath of Life



ブレスイブライフとは生命を推進する力を指します。ヒト形成だけではなく、すべての生存を支え、ありとあらゆる場所に展開されていると考えられています。ゆえに、この概念による液や組織に現れる触診可能なそれ自体の固有運動の原動力は実質的な身体機能のどれかによってもたらされるとは考えられず、体の外からかやってくる "創造する力” であると考えられました。サザーランド博士は中枢神経系周辺を満たしている脳脊髄液がブレスオブライフの潜在力を最初に受け取る媒体となり、液に潮流のようなモーション、組織に呼吸のようなモーションとなって体全体またその周辺に伝達されると説いたのです。このワークが発展する初期頃は一般医学会には受け入れがたい理論でした。当時、それを証明する計測可能な手段はありませんでした。

その後、サザーランドの教え子が行っていた講義に出席したアプレジャーによって考えられた彼独自の理論である「脳脊髄液の半永久的な水圧システム」が頭蓋を動かす原動力という考えが一般的に受け入れられ、CRIレベルのワークとして広く知れ渡ることになりました。アプレジャーの貢献は、この優れたクラニオセイクラル・セラピーを閉じられた世界だけでなく、世界中の一般社会に広げたことです。それゆえに、サザーランドとその友人達の調査によって見いだされた身体の健康に深く影響を与えている触診可能なゆったりとしたタイドモーション、またはフルイッドモーションと呼ばれる動きがこのCRIレベルの下に横たわって作用していることも多くの人たちに知れ渡るようになりました。

バイオダイナミックスのアプローチと概念は、サザーランドの説いたこの第一次的な原初呼吸モーションの動因になるのがブレスオブライフであり、ブレスオブライフは液システムと組織を構成するすべての細胞のなかに現れると考えます。それは、どこからともなくやってきて、そして、どこかへ知られざる場所へ消え去っていくと言うように表現されることがあります。ブレスオブライフは有機生体の成長と健康を維持する力の作用であり、また、この大宇宙を創造する力と等しく、すべての存在物に作用し影響を与える力と考えます。

原初呼吸/Primary Respiration



原初呼吸とは、生命マトリックスを維持するための細胞質レベルでの呼吸運動のことです。酸素を取り入れるための肺呼吸ではありません。この呼吸はプラナ(命の要素)を取り入れるための運動とされます。

原初呼吸メカニズム/Primary Respiratory Mechanism



クラニウムとは頭蓋、セイクラルとは仙骨のことです。クラニオセイクラル システムとは中枢神経(脳と脊髄)とそれを取り囲む硬膜、硬膜内に循環する脳脊髄液、そして、それらをさらに取り囲む骨(頭蓋骨から脊柱、仙骨)の全てを指します。サザーランドは、脳脊髄液がブレスオブライフの潜在力を取り入れる最初の媒体として考えたので、その周辺組織一体が原初呼吸メカニズムと呼ばれるようになりました。

タイド モーション/Tide Motion



この用語はその他にフルイッドモーション(液-運動)とも呼ばれます。ブレスオブライフの潜在力によって身体の液に現れる生命フォースの活動であり、その推進力による潮流のようなモーションを指しています。そのなかでも触診可能な3つのタイドモーションがあり、それぞれのモーションに耳を傾けることで異なる作用の健康を引きだすことができます。

ロングタイド - 100秒に1サイクル (バイオ エレクトリック マトリックス)
ミッドタイド - 60秒に2.5サイクル (液と組織と潜在力の三位一体、流動的)
CRIレベル   - 60秒に8~14サイクル (身体のもっとも表面的、メカニカル)


スティルネス/Stillness



スティルネスとは身体システムが深い休息に入る現象を指し、もっとも基盤と言われるロングタイド以外のモーションが一時的に止まるか、またはとても安定し、深くゆったりとした休息時の調律のよい運動が起ります。この現象にある時、自律神経のバランスが落ち着き始めます。体の緊張を和らげ、全身性の均衡を取り戻す力が作用します。さらに、精神的な理解の深まりが起こります。