ブレスオブライフ/Breath of Life

生命を実現化する息

クラニオバイオダイナミックスの概念にある “ブレスオブライフ(以下はBOFと記入)"を日本語に訳すのは難しく、ちなみに、Michael Shea,Ph,D.の著書:Biodynamic Craniosacral Therapy A primer と言う本の表紙には"命の息” と書かれています。BOLという用語は聖書の「神が泥で作った人形に息を吹きかけて命を与えた」から引用された生命活動に関する大きな意味が含まれています。

クラニオセイクラル・セラピーの生みの親であるサザーランド博士はBOLを「モーターを点火する “火花” のようだ」と喩え、それによって展開される現象を "光の噴水スプレー” と言い表しました。息>火花>光の噴水>・・・なんのこっちゃ?と思われるかもしれませんが、それは、私たちの生命基盤の活発なフィールド現象を示しているのです。さらにつけ加えるとと、個々に展開されている命はその基盤となるフィールド(場)によって維持されており、この基盤は量子レベルのバイオエレクトリックフィールドと呼ばれています。

NHKのある番組で見たのですが、鶏の受精卵を宇宙飛行ロケットに乗せて観察した結果、地球の引力が作用しない状況においてこの受精卵は成熟することが出来ず、鶏が鶏として形成されない結果となりました。姿が形成されるには、外からの、また内側からの引力のような力がバランスよく働く "場" の重要性が明らかになったと言うことでしょう。

銀河や個々の星が何かの力に引き込まれるように渦巻きながら中心に向かって凝縮される様子が見られます。私たち一個人の存在も同じで、この概念ではヒトの生命基盤にもこのような求心と遠心の作用が働いており、外に向かう力と内に向かう力によって一定の秩序が生まれ、マトリックス(基盤)が保たれていると考えます。クラニアル・フィールドではこの基盤を維持する遠心と求心作用をロングタイドと呼び、上記で述べた量子レベルのバイオエレクトリック・マトリックスと考えます。

さて、体の組織を形成する細胞はコラーゲンファイバーを多く含む液に満たされています。そして、ファイバー内は空中になっており、その中を満たす液はサザーランドがブレスオブライフを最初に受け取る媒体と考える脳脊髄液とほぼ同じ要素であるとロシア人科学者が発見しました。このコラーゲンファイバー内の液は3重らせん状のペプチドと水素結合のシートが張りめぐらされ、光、または、それよりも速い速度で情報が伝達される液-粘着結合ワールドとして体全体に広がっています。

ブレスオブライフ、すなわち、神が吹きかける息が生命を点火し、その点火によって生じる律動的なロングタイドの求心と遠心作用が体全体に波のように伝わっていきます。私たちは、繊細な触診技能をもちいてそれを感じることができるのです。

プラクティショナーとして

私たちプラクティショナーはセッションの最中 - 始めから終わりまで - 自分自身がどれだけ透明になることができるかを見ています。もし、”私(自我)” がそこにあると、その “私” が邪魔になってブレスオブライフの営みを観察する、または受け取る(感じる)ことに制限をつくってしまうからです。 “私” がまったく消えてなくなることはありませんが、瞑想と同じようにゆったりとくつろいで自我を明け渡し、ただあるがままを認識してそれとともに “在る" ことに落ち着いていくのです。

他のボディワークと違うところは "テクニックを手放す" ことです。クラニオワークのなかでも微妙な意図をもちいて行う手法もありますが、バイオダイナミックスのエッセンシャルなワークではそれすらも手放していかなければなりません。繊細で技術的なテクニックにも多大な効果があるので、プラクティショナーによっては適材適所的にサイトの違う技を使っていくこともあるでしょう。しかし、ブレスオブライフに焦点を当てるにはこのテクニック自体が邪魔になってしまいます。そこにテクニックをもちいる “私” がいてはいけないのです。ブレスオブライフはシンプルに、息>火花>光の噴水 - なのですから。